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犠牲ヲ踏ミ越エテ突進セヨ(水漬く屍………海底の遺書)

2014年8月4日 月曜日

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海軍少佐 樋口 孝 命
  昭和十九年九月六日
  徳山湾にて特攻兵器「回天」
  第一号を操縦訓練中、
  黒木博司少佐と共に殉職
  東京都中央区出身
  海軍兵学校卒
  二十三歳

  指揮官ニ報告
予定ノ如ク航走、一八一二潜入時突如傾斜DOWN二〇度トナリ海底ニ沈坐ス。其ノ状況、推定原因、処置等同乗指導官黒木大尉(少佐)ノ記セル通ナリ。事故ノ為訓練ニ支障ヲ来シ洵《まこと》ニ申訳ナキ次第ナリ。
  後輩諸君ニ
犠牲ヲ踏ミ越エテ突進セヨ、
七日〇四〇五呼吸困難ナリ、
大日本帝國万歳三唱ス。戦友黒木ト共ニ。
訓練中事故ヲ起シタルハ戦場ニ散ルベキ我々ノ最モ遺憾トスルトコロナリ。
然《しか》レドモ犠牲ヲ乗越エテコソ発展アリ、進歩アリ、庶幾《こひねがは》クバ我々ノ失敗セシ原因ヲ探究シ、帝國ヲ護ルコノ種兵器ノ発展ノ基ヲ得ンコトヲ。
 周到ナル計画、大胆ナル実施、生即死、〇四四〇、
 國歌奉唱ス〇四四五、
 〇六〇〇猶《なほ》ニ人生ク、行ヲ共ニセン
 大日本帝國万歳 〇六一〇、
  十九年九月六日
            海軍大尉 樋口  孝

  【昭和四十一年十一月靖國神社社頭掲示】

無に近い境地です(最 後 の 筆)

2013年6月3日 月曜日

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海軍少佐 都所 静世 命
  回天特別攻撃隊
  昭和二十年一月十二日
  ウルシー海域にて戦死
  海軍機関学校第五十三期
  群馬県吾妻郡原町出身 二十一歳

 蒸風呂の中にゐるやうで、何をやるのもおくくふなのですけれど、やさしい姉上様のお姿を偲びつゝ最後にもう一度筆をとります。(中略)
 三十日の一七〇〇、豊後水道通過、迫り来る暮色に消えゆく故国の山々へ最後の訣別をした時、真に感慨無量でした。日本の国といふものが、これほど神々しく見えたことはありませんでした。神州断じて護らざるべからずの感を一入深うしました。
 姉上様の面影がちらつと脳裡をかすめ、もう一度お会ひしたかつたと心のどこかで思ひましたが、いやこれも私心、大義の前の小さな私事、必ず思ふまいと決心しました。(中略)
 艦内で作戦電報を読むにつけても、この戦はまだまだ容易なことではないやうに思はれます。若い者がまだどしどし死なゝければ完遂は遠いことでせう。(中略)
 生意気のやうですが、無に近い境地です。攻撃決行の日は日一日と迫つて参りますが別に急ぐでもなく日々平常です。太陽に当らないのでだんだん食欲もなく、肌が白くなつて来ました。(中略)
 今、六日の〇二四五分なのですが、一体午前の二時四十五分やら、午後の二時四十五分やらとにかく時の観念はなくなります。
 姉上様、もうお休みのことでせうね、今総員配置につけがありました。ではさやうならします。姉上様の末永く御幸福であります様、南海の中よりお祈り申し上げます。
  一月六日
 姉 上 様              静 世

  【昭和四十三年一月靖國神社社頭掲示】