学半ばにして征く(遺稿「出陣に際して」)

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陸軍少尉 中里 輝哉 命
  東京帝國大学在学中 学徒出陣
  電信第二十七聯隊
  昭和二十年四月八日
  フィリピン群島ルソン島にて戦死
  東京都出身 二十一歳

 卿等《けいら》学べ いくさは 大き菊の秋 青邨《せいそん》

 私が東大に入学した時に師のよまれた句である。思へば私の学窓生活は戦ひのさなかに続けられて来た。学半ばにして征く。これも予期してゐなかつた事ではない。われらなきあとに、畏敬する友と後輩とが学統を守つて下さるのを信じて、安んじて征《ゆ》く。
 私の部生活は恵まれてゐた。諸先輩に導かれ、多くの友に囲まれて、私の歩んで来た道には東高弓道部の黄金時代もあつた。その上に私はよき後輩を持つてゐる。これらの人々にいろいろと迷惑をかけ、難しい言葉を並べたりしたが、私はやはり、平凡に弓を愛し、友を愛し、部生活を愛する一人であつたと自ら思ふ。
 われわれが弓を磨き心を練つた所以のものは、相率ゐて國家有為の人となるにあつた。時来つて我々の仲間は相次いで戦場に出る。草莽《そうもう》の心は誰の胸にもある事であらう。ことごとしい言葉は最早いらない様な気がする。
 終りに、諸先生の御長寿を祈り、諸兄の研鑽と御健康を祈つてやまない。

        昭和十八年十一月二十七日

   【平成十六年六月?國神社社頭掲示】

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