これで私はペンを置きます

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これで私はペンを置きます

  海軍大尉  山下 久夫 命
   神風特別攻撃隊第二正統隊
   昭和二十年四月二十八日
   南西諸島方面にて戦死
   関西大学 海軍第十四期飛行科予備生徒
   兵庫県揖保郡御津村出身 二十三歳

四月三十日
 (前略)
 褌(ふんどし)も母上が縫つて大井へ送られたものを着、肌着も新しいものをつける
 軍服は最良の第一種軍装を着やう。
 照一の写真も持つてゐる。
 ただふる里の皆様の御健康を祈るのみ。
 今日の十二時、発進して行く。今晩つつこむか、また明日か。
 お姉様の最後の便り繰返しよむ。
 有難うございました。心より永久に感謝してゐます。
 家から荷物の受取つた便りを見ないで行くのもちよつと心にかかるが、大したことはない。
 今は朝の〇四一二なり、新しき飛行服に飛行靴、これが俺の衣装だ。
 坂本の小母様の千人針と、母から送られたマフラーをもつて行く。
 とし子よ、絹のマフラー、俺が貰ふよ。その代り、隊でもらつて少しよごれてゐるが他の一つを入れて置くから、これをお前の何かに使へ。これも四、五回しか着けなかつた。

 朝早くより、試運転らしい爆音聞ゆ。
 では今より、九九艦爆に乗り行かんとす。
 では皆様、切に多幸を祈つてをります。
 これで私はペンを置きます。さやうなら。
 父上、母上、私のために泣かれるな、いろいろと有難うございました。
 兄弟よ、さらば。俺は征く、後を守つて幸福になれ。

  【昭和四十五年十一月靖国神社社頭掲示】

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コメント2件

  1. 山下 實 より:

    言葉がでませんでした。これから死ににゆく中で家族を思い、故郷を思う気持ちが伝わってきます。日本人としての潔さが伝わり体の芯から熱くなりました。

  2. 外 山 より:

     
              僕も、言葉がでませんでした。
     
              三月前に読んだ時は、その重く覚悟の決
            まっている文章から、心が動かされて 、落ち
            着いて文章を書く余裕がありませんでした。
     
              それから時が経って、ようやく受けた熱の
            こもった想いを冷静に、今、感想にできます。
     
      
     ◆
     ▼   香を鎧に焚き込み、晴れの舞台に挑む美意識と、神聖な気
     ▲ 持ちに身が正されて、褌をしめてかかる精神性とが生きるかた
     ▼ ちの究極であると骨の髄から感じ、実践躬行( やってみせ )の
     ▲ 有難さを実感したものである。
     ▼
     ◆
     
     ◆
     ▲
     ▼   万葉集くらいの昔は、別離の際、霊 ( 何かしらの力 )が宿
     ▲ っているとそう感じられる、身に着けていたものを交換しあって
     ▼ 別れたもので、その歌が沢山ある。
     ▲
     ◆
     
     ◆
     ▲
     ▼   思い出すものを交換できたことを良いことと考える。それに、
     ▲ 写真に 千人針に 絹のマフラー、 沢山携えているから嬉しい。
     ▼ 形見というものは大事である。
     ▲
     ◆
     
     ◆
     ▲   共に戦場に立ち偉業を創るのと、平和な治世に身を引き締
     ▼ め偉業を守るのと、どちらがより困難か問うた 「 創業と守成い
     ▲ ずれが難きや 」 の言葉は、現在の日本を見れば 大変な意味
     ▼ を含む。アレキサンダー大王が「 最強が継承せよ 」と遺し死去
     ▲ するのと違い、三国志の孫策伯符のように、勇猛果敢でも兄弟
     ▼ の行く末を心配して去るのが一般的。
     ▲
     ▼  「 後を守って幸福になれ 」 の志で、 皆に幸福と健康を遺した
     ▲ のを尊ぶ。 残るは、守成だけである。
     ▼
     ◆

     ◆
     ▼   文全体が、 稚心を去った心で書かれてあるというか、 なよ
     ▲ なよしていない というか、ぬくもりが ありつつ、姿勢が正された
     ▼ ピシッ とした言葉の発し方になっていて、格好が良い。 信念を
     ▲ 完遂させると爽快な精神性に至るように思う。
     ▼
     ◆ 
                              皇紀 2672年 1月 17日

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